ホーム経典 › 太上老君説常清静経

太上老君説常清静経Scripture of Constant Clarity and Stillness (Qingjing jing)

別称
清静経, 常清静経, 太上老君説常清静妙経
著者・伝授
佚名(太上老君仮託)
時代
唐 · 唐代に成立したとされる(六朝末から初唐、あるいは中唐から晩唐との説もある)。葛玄より伝わったものと仮託される。
道蔵の部類
洞神部本文類
収録
『正統道蔵』洞神部本文類。注釈書は洞神部玉訣類に収める
分類
初期道経
巻数
一巻、約四百字

解題

『清静経』は全文わずか三百九十字余りで、道教で最も頻繁に読誦される短経の一つであり、全真教では日課の誦経の筆頭経典に数えられる。経文は太上老君の説とされ、『道徳経』の「清静は天下の正なり」を宗旨とし、大道は無形・無情・無名でありながら天地万物を生育し運行させると説く。人が「常にその欲を遣りて心おのずから静かに、その心を澄まして神おのずから清し」となし、空を観じてまたその空をも空じ、湛然として常に寂であれば、しだいに真道に入るとする。反対にそれができなければ生死に流転し、苦海に沈んで真道を失うという。その義理は老荘の清静無為と仏教般若の「三観」(心・形・物をいずれも空と観ずる)の思考法を融合させ、文章は簡潔で覚えやすく、道教における心性修養の入門的総綱とみなされている。注釈書はきわめて多く、唐の杜光庭、宋の王道淵、金の侯善淵、元の李道純、清の劉一明などがそれぞれ注を著した。経末には葛玄・左玄真人・正一真人による三段の跋が付され、その伝授の由来を述べる。

中心思想

  • 大道は無形にして天地を生育する
  • 清は濁の源、動は静の基
  • 欲を遣り心を澄ませば、神清く心静かなり
  • 空を観じてまた空ぜられ、湛然として常に寂なり
  • 得道とは実は無所得であり、衆生を化するがゆえに得道と名づける

構成

全一巻。正文は約三百九十字で、真人による三段の賛跋が付される。

版本

  • 『正統道蔵』本
  • 『道蔵輯要』本
  • 全真日誦功課経本

注疏

  • 杜光庭『太上老君説常清静経注』
  • 王道淵注
  • 侯善淵注
  • 李道純注
  • 劉一明『清静経解』
  • 水精子注

訳本

  • リヴィア・コーン(Livia Kohn)英訳(The Taoist Experience, 1993)
  • エヴァ・ウォン(Eva Wong)英訳(1992)
  • ジェームズ・レッグ(James Legge)英訳(1891)

原文とオンライン資料

関連経典

道徳経, 『玄門日誦早晩功課経』, 『黄帝陰符経』

関連人物

老子, 葛玄, 杜光庭, 李道純, 劉一明
参考文献
  1. 任继愈主编《道藏提要》
  2. Livia Kohn, The Taoist Experience, 1993
  3. 维基百科「清静经」条