『太上老君内観経』Scripture of Inner Observation
- 別称
- 『内観経』, 『老君内観経』
- 著者・伝授
- 佚名(太上老君仮託)
- 時代
- 唐 · おおよそ唐代の成立で、重玄学の「観心」思想を反映する。
- 道蔵の部類
- 洞神部本文類
- 収録
- 『正統道蔵』洞神部本文類。『雲笈七籤』巻十七にも収録される。
- 分類
- 道家哲学
- 巻数
- 一巻
解題
『内観経』は太上老君の説くところに託された、唐代道教における心性修養を代表する短編経典である。経文は、人が生を受けるとき天地の炁を禀け、諸神がその身に入り居るとし、「心とは禁なり、一身の主なり」とする。人は貪欲によって心神が散乱するため、「己が身を内観」し、心を澄まし欲を遣り、心源を観照して「心を道に帰す」べきだとする。文中にいう「道は見るべからず、生に因りてこれを明らかにす。生は常なるべからず、道を用いてこれを守る」および「万法はみな心より生ず」の句は、老子の清静の旨と仏教の観心の法門とを結び合わせたものであり、『清静経』『定観経』と同系統に属し、唐代重玄学が内丹の「性功」へと移行する上での重要な環節である。『雲笈七籤』および全真教はいずれもこの経を重視する。
中心思想
- 心は一身の主であり、己が身を内観する
- 心を澄まし欲を遣り、心を道に帰す
- 生は道によって明らかとなり、道は生によって守られる
- 万法は心より生ず
構成
一巻。散文体で篇幅は短い。
版本
- 正統道蔵本
- 『雲笈七籤』本
訳本
- リヴィア・コーン英訳(The Taoist Experience, 1993年)
原文とオンライン資料
関連経典
太上老君説常清静経, 『洞玄霊宝定観経』, 坐忘論関連人物
老子参考文献
- Livia Kohn, The Taoist Experience, 1993
- 任继愈主编《道藏提要》