ホーム経典 › 洞天福地岳瀆名山記

洞天福地岳瀆名山記Record of Grotto-Heavens, Blessed Lands, Marchmounts, Rivers and Famous Mountains

別称
『洞天福地記』
著者・伝授
杜光庭
時代
唐末五代 · 杜光庭撰。自序に天復元年(901)と記す。一巻。
道蔵の部類
洞玄部記伝類
収録
正統道蔵 洞玄部記伝類
分類
山志
巻数
一巻

解題

『洞天福地岳瀆名山記』は道教の神聖地理を定型化した文献である。杜光庭は司馬承禎の『天地宮府図』を基礎として整理・増補し、五岳・四瀆・十大洞天・三十六小洞天・七十二福地および諸々の靖廬・霊化の名目を体系的に列挙し、それぞれの所在州県・周回里数・主治仙官を注記した。本書は中国の名山大川を一つの階層化された神聖空間の体系に組み込むもので、洞天は地下で相通じる仙界、福地は修行して道を成しうる場所とされ、それぞれ真人が主司することによって、修道・朝真・隠居を具体的な地理と結びつけた。その影響はきわめて深く、後世の道教宮観の立地選定、山志の編纂、朝山進香、さらには文人の山水叙述に至るまで、多くはこの名目を典拠とした。今日の中国における数々の道教名山の「洞天」「福地」の称号は、いずれもここに由来する。記される州県名の多くが唐制であることから、本書は歴史地理研究に対して時代を特定する座標をも提供している。

中心思想

  • 道教の神聖地理を定型化した文献
  • 十大洞天・三十六小洞天・七十二福地
  • 五岳四瀆と靖廬・霊化
  • 地下で相通じる洞天という仙界観
  • 後世の宮観選定と山志の典拠

構成

一巻。分類に従って名目を列挙し、それぞれに方位・里程と主治仙官を注記する。

版本

  • 正統道蔵本
  • 『雲笈七籤』該当巻も参照しうる
  • 『中華道蔵』本

訳本

  • フランシスクス・ヴェレレン(Franciscus Verellen)による洞天福地に関する研究。ほかにトマス・ハーン(Thomas Hahn)の関連論文も参照

原文とオンライン資料

関連経典

『天地宮府図』, 『海内十洲記』, 『茅山志』, 雲笈七籤

関連人物

杜光庭, 司馬承禎
参考文献
  1. Franciscus Verellen, 'The Beyond Within: Grotto-Heavens in Taoist Ritual and Cosmology', Cahiers d'Extrême-Asie 8 (1995)
  2. 任继愈主编《道藏提要》
  3. Schipper & Verellen, The Taoist Canon, 2004
  4. 维基百科「洞天福地」条