道教霊験記Records of Daoist Miraculous Efficacy
- 別称
- 『霊験記』
- 著者・伝授
- 杜光庭
- 時代
- 唐末五代 · 杜光庭の撰で、唐末(9世紀末から10世紀初頭)の成立とされる。現存十五巻(原本は二十巻とも言われる)。ほかに『雲笈七籤』巻117—122に節略本が収められる。
- 道蔵の部類
- 洞玄部記伝類
- 収録
- 正統道蔵 洞玄部記伝類
- 分類
- 仙伝
- 巻数
- 十五巻
解題
『道教霊験記』は唐五代における最も重要な道教霊験譚集であり、杜光庭が宮観・天尊像・経典・符箓・斎醮・法師など各種の「霊験」の事跡数百条を集めたものである。各条には時・地・人物が明記される。全書は験の類によって編纂されており、宮観験、尊像験、天尊験、老君験、真人験、経法験、道像験などに分かれる。叙述のパターンは概ね、道教を侵犯し軽んじた者が報いを受け、虔誠に道を奉じた者が福を得るというもので、その目的は事例によって教えを証すことにあり、唐末の仏道の競合と戦乱のなかで信仰が動揺していた現実に応えるものであった。本書は宣教文献でありながら、唐代における宮観の興廃、経像の制作、地方信仰、社会生活に関する多くの細部を保存しており、唐代の道教社会史および物質文化を研究する第一級の資料である。またその体例は、宋元以降の『感応篇』類の勧善文献や霊験譚の伝統にも直接的な影響を与えた。
中心思想
- 唐五代の道教霊験譚の総集
- 宮観・尊像・経法などの験の類によって編纂
- 事例によって教えを証し、仏道の競合に応える
- 唐代の宮観と社会生活の細部を保存する
- 後世の感応・勧善文献に影響を与えた
構成
十五巻、験の類によって分かれ、各類に若干条を収める。
版本
- 正統道蔵本
- 『雲笈七籤』巻117—122節略本
訳本
- Franciscus Verellenによる杜光庭の霊験記に関する一連の研究論文
原文とオンライン資料
関連経典
神仙感遇伝, 墉城集仙録, 『太上感応篇』, 雲笈七籤関連人物
杜光庭参考文献
- Franciscus Verellen, 'Evidential Miracles in Support of Taoism', T'oung Pao 78 (1992)
- 任继愈主编《道藏提要》
- Schipper & Verellen, The Taoist Canon, 2004
- 孙昌武《道教与唐代文学》