老子河上公章句Heshanggong Commentary on the Laozi
- 別称
- 老子道徳経河上公章句, 河上公注
- 著者・伝授
- 河上公
- 時代
- 漢 · 漢の文帝の時代の河上公に仮託され、学界の多くは後漢の成立とし、漢魏の間とする説もある。
- 道蔵の部類
- 洞神部玉訣類
- 収録
- 正統道蔵 洞神部玉訣類
- 分類
- 道家哲学
- 巻数
- 四巻
解題
『老子河上公章句』は現存最古にして最も広く流布した『道徳経』注本の一つである。伝説では、河上公は漢の文帝の時代に黄河のほとりに隠棲した老人で、文帝が就いて問うたところ『素書』を授けたとされ、この話は葛洪『神仙伝』に見えるが、実際には仮託である。注文は「治身」と「治国」を並び重んじる立場を綱とし、老子の哲学を養生の術として実践に落とし込む。精気神を核心とし、「気を愛おしみ神を養う」「情を除き欲を去る」「五臓の神を守る」ことを説き、黄老道および初期道教の養生思想と通じる。全篇八十一章のそれぞれに「体道」「養身」などの章名を付し、章名によって章を分ける最初の例である。この本は唐代に王弼注と並び行われ、唐の玄宗の時代には科挙用の底本と定められたこともあり、道教内部では長らく正宗とされてきた。敦煌出土の『老子』写本も河上公本が多数を占める。その思想は道家哲学から道教信仰への過渡を示す重要な媒介である。
中心思想
- 治身と治国は同理であり、人君は道に法りて治める
- 精を愛おしみ気を重んじ、五臓に神を蔵す
- 欲を去り静を守ることが即ち長生の道
- 章名による分章の始まり
構成
上下経八十一章に分かれ、各章に二字の章名を冠し、逐句に注を施す。
版本
- 正統道蔵本
- 四部叢刊影宋本
- 敦煌写本諸種
- 王卡点校『老子道徳経河上公章句』(中華書局 1993)
訳本
- Alan K. L. Chan, Two Visions of the Way (1991) 部分英訳
- Eduard Erkes 英訳 (1958)
原文とオンライン資料
関連経典
道徳経, 老子注(王弼), 『老子想爾注』関連人物
河上公, 老子参考文献
- 王卡点校《老子道德经河上公章句》前言,中华书局 1993
- 《神仙传·河上公》
- 任继愈主编《道藏提要》