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『玉暦宝鈔』Precious Records of the Jade Calendar

別称
『玉暦鈔伝』, 『玉暦至宝鈔』
著者・伝授
淡痴道人受、勿迷道人伝に仮託
時代
宋(仮託)―清(流通本) · 宋代の淡痴道人が冥府を巡って得たものを勿迷道人が世に伝えたと仮託されるが、実際には現存する流通本の多くは清代に成ったものである。一巻、図を付す。
道蔵の部類
蔵外(明清善書)
収録
蔵外
分類
勧善書
巻数
一巻(挿図付)

解題

『玉暦宝鈔』は最も広く流布した地獄勧善の図冊であり、宋代の淡痴道人が閻羅天子の命を受けて冥府を巡歴し、十殿冥王の裁判の制を録したことに仮託して成ったものである。書中には十殿閻王の名号・誕辰・職掌と管轄する地獄(秦広王・楚江王・宋帝王・五官王・閻羅王・卞城王・泰山王・都市王・平等王・転輪王など)が詳しく列挙され、刀山・油鍋・寒氷・抜舌などの刑罰の図像が添えられ、あわせて孟婆湯・六道輪廻・受生の法が記され、末尾には解冤釈結と超抜の法門が付されている。その思想は仏道の民間信仰が混融した産物である。十殿冥王の体系は唐宋の『十王経』に由来し、承負・司命・赦罪の説は道教に出るものである。この書は図と文とを併せ用いた強い印象を与える方式で人に悪を止めるよう勧めるもので、清代以来、善堂が大量に刊印して施与し、今日でも台湾・香港・東南アジアにおいて流通本がよく見られ、中国の民間における地獄観念と視覚的宗教文化を研究するための中核的資料である。

中心思想

  • 十殿冥王と地獄審判の体系
  • 刑罰図像による視覚的な勧誡
  • 孟婆湯と六道輪廻
  • 仏道民間信仰の混融
  • 善堂による刊印施送の流通モデル

構成

一巻、図と文を並べ、十殿の次第に従う。

版本

  • 清代各種善堂刊本
  • 近代の石印・彩印流通本

訳本

  • 東南アジア華人社群による多種の訳本と図冊

原文とオンライン資料

関連経典

『太上感応篇』, 『関聖帝君覚世真経』
参考文献
  1. 酒井忠夫《中国善书の研究》
  2. 游子安《善与人同》
  3. Stephen Teiser, The Scripture on the Ten Kings (1994)
  4. 维基百科「玉历宝钞」条