陰騭文広義Extended Meaning of the Tract on Hidden Merit
- 別称
- 文昌帝君陰騭文広義節録, 安士全書(含む)
- 著者・伝授
- 周夢顔(安士、1656—1739)
- 時代
- 清 · 清の周夢顔(字は思仁、号は安士)の撰で、康熙末から雍正の間の成立とされる。二巻、『安士全書』の一種である。
- 道蔵の部類
- 蔵外(清代善書)
- 収録
- 蔵外
- 分類
- 勧善書
- 巻数
- 二巻
解題
『文昌帝君陰騭文広義節録』は、清代の居士・周夢顔(安士)が著した『陰騭文』の注本で、その『安士全書』(ほかに『万善先資』『欲海回狂』『西帰直指』を含む)に収められている。書中では『陰騭文』を逐句に疏解し、儒仏道三教の経論と史伝の物語を広く引用しており、とりわけ仏教の因果輪廻の説を重んじつつ、道教の承負や功過格、儒家の倫理をも併せ取り入れ、説理は綿密で文章は流麗であり、善書注解の中でも義理の層において最も高い水準にあるものの一つとされる。周氏は蘇州昆山の人で、篤く浄土を信仰し、その注解はしばしば「陰騭」を殺生を戒め生を護り、淫を断ち念仏することといった実践へと導いている。これは清代の江南における居士仏教と善書運動との合流を反映するものである。近代の印光法師は『安士全書』を「善世第一の奇書」と称え、力を尽くしてこれを流通させ、この書は20世紀の華人社会において影響を持続させた。道教研究の観点からは、道教の善書が仏教の居士によってどのように受容され再解釈されたかを観察する上で鍵となる文献である。
中心思想
- 『陰騭文』の中でも義理の層が最も高い注本の一つ
- 三教の経論と史伝物語を広く引用する
- 仏教の因果輪廻をもって陰騭の説を統べる
- 『安士全書』と江南の居士仏教
- 道教善書の仏教的な再解釈
構成
二巻、逐句に疏解を施し物語を付す。
版本
- 清刊『安士全書』本
- 近代の印光法師流通本
- 現代の複数の排印本
訳本
- 部分的な英訳(Safe Harbor/An Shi Quan Shu 節訳など)
原文とオンライン資料
関連経典
『文昌帝君陰騭文』, 感応篇彙編, 『了凡四訓』参考文献
- 游子安《劝化金箴——清代善书研究》
- 酒井忠夫《中国善书の研究》
- Cynthia Brokaw, The Ledgers of Merit and Demerit, 1991
- 维基百科「安士全书」条